炎症性腸疾患
指定難病の治療
炎症性腸疾患
IBD:潰瘍性大腸炎、クローン病
厚生労働省指定の難病です。近年、食生活の欧米化とともに増加の一途をたどっている疾患です。免疫異常が関与し、病態は把握されつつありますが、未だ原因は解明できておりません。希少疾患とされ、治療法も限られていた20数年前から診断・治療に携わってきましたが、現在では、多くの治療法が開発され、症状に応じて治療法選択ができるようになってきました。
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜一面に大小の潰瘍ができ、1日10数回もの出血や粘液を伴った下痢(粘血下痢便)、腹痛等があり、症状に応じて、ステロイドや免疫機能に作用する内服薬、注射薬、血球成分除去療法(透析のようなもの)で継続的な治療をしますが、劇症型(急激に悪化する型)や難治性(内科的治療で改善が困難)では大腸を全摘する手術が必要なことがあります。
再燃と寛解を繰り返し、発症後10年前後から年月を経るごとに癌の発生率が、疾患の無い方に比べて、数倍~10数倍に増加してくるため、定期的な内視鏡検査を行い、早期に発見することが重要です。
クローン病
小腸と大腸を中心に口から肛門までの全消化管に深い潰瘍ができる疾患で、下痢と腹痛が強く、体重減少など栄養不良になったりします。
症状に応じて、ステロイドや免疫機能に作用する内服薬、注射薬、血球成分除去療法(透析のようなもの)および栄養療法(成分栄養食)で継続的な治療をしますが、腸管穿孔や狭窄のため手術が必要なことがあります。再燃と寛解の繰り返しで、複数回の手術を受けることにより小腸が短くなったり、腸管機能障害のため、経口での栄養維持が困難になることもあります。
また、特徴的な肛門病変が出現することも多く、その診断には経験が必要で、また腸管症状出現前に肛門病変のみが先行して出現することもよくあります。